
「おばあちゃんのいえに とどきますように」
ある日のこと。 てがみぼうやは、隣町のおばあちゃんのところへ男の子の思いを届けるために旅立つことになりました。 顔の横にはあて先がちゃんと書いてあります。「となりまち なのはなどおり あおいいえ」。 隣町ですもん。「まかせておいて!」 ところが、投函された場所は、真っ暗なポストの中。「うわーなんにもみえないぞ。」 そこには同じように配達を待っているたくさんの手紙や葉書、郵便物たちがいます。そんな不安をよそに、てがみぼうやは運び出され郵便局で仕分けされ隣町へ。さらに自転車に乗った郵便屋さんに運ばれて、あて先の住所へと順調に向かうてがみぼうや。 ところが目の前の見慣れない風景や露店の美味しそうなアイスクリームに大興奮! 「おばさん、ぼくにも アイスクリームちょうだい!」 あれあれ、だいじょうぶ?寄り道なんてしていたら迷子になっちゃうわよ。案の定、疾風と共に思いも寄らぬ波乱万丈の旅に!てがみぼうやは一体どこへ・・・?見知らぬ場所でどんな出会いが待っているのかしら。無事におばあちゃんに会うことはできるのでしょうか。
てがみぼうやの表情がなんともかわいらしいこの作品は、第35回講談社絵本新人賞を受賞した加藤晶子さんの初めての絵本。もし、思いを届ける手紙に心があってそのまま歩き出したら?そんなドキドキやワクワクがつめこまれた空想がこの素敵な作品のはじまりだったのだそう。
今や便利なツールは色々あるけれど、送り主が手書きで書いた手紙には、どんな贈り物よりもぎゅっと思いがつまっていて、受け取った人も送った人も幸せにしてくれる魔法の力があるみたい。いろいろな人の手にわたって手紙が届けられるまでの時間を楽しむ、そんなささやかな幸せを感じられたら・・・。 みなさん、てがみぼうやに書かれていたあて先の住所を覚えていますか。 是非、絵本を手にとっててがみぼうやがちゃんとおばあちゃんに出会えたか見届けてくださいね。
(富田直美 絵本ナビ編集部)

ポストに入れられた「てがみぼうや」がおばあちゃんの家に届けられるまでの、めくるめく大冒険。第35回講談社絵本新人賞受賞作。

手紙を誰かに書く。手紙を郵便ポストへ入れる。郵便屋さんが手紙を届けてくれる。届いた手紙を読む。
こういったシーンが描かれる絵本はありますが、
手紙が主人公の絵本は、なかなかない気がします。
この絵本は、てがみぼうやをポストに入れるところから始まり、おばあちゃんの家へ着くところで終わります。
本を読んで、
「ポストに入ったら、こんな感じなんだ!」、
「手紙って、こうやって旅をして届くんだ!」、
「今日届いた手紙は、どんな旅をしたのかな?」
と、普段は見ることがないことへ思いをはせられます。
差出人だけでなく、手紙の配達に関わるすべての人に、「ありがとう」と言いたくなる絵本です。 (うさぎのタンタンさん 30代・ママ 男の子2歳)
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