
ぐるんぱはとっても大きなぞうですが、ずっとひとりぼっちで暮らしてきたので、汚くて、くさい臭いもします。ひとりぼっちで寂しくて、大きな涙を流すのでした。 ジャングルの会議で、ぐるんぱを働きに出すことに決まりました。みんなにきれいに洗われて、見違えるほど立派になって出発します。 ぐるんぱはまず、ビスケット屋で働きますが、張り切って大きな大きなビスケットを作ってしまい、追い出されてしまいます。次にお皿を作りましたが、また張り切って大きな大きなお皿を作って追い出され、次のくつ屋でも・・・。行く先々で失敗を繰り返し、大きなビスケットとお皿とくつとピアノを大きなスポーツカーに載せて、しょんぼりがっかり出ていきます。 昔のように涙が出そうになりました。
しばらく行くと子だくさんのお母さんに出会い、子どもたちと遊んでくれと頼まれます。ぐるんぱが大きなピアノをひいて歌をうたうと子どもたちは大喜び。歌をきいてあちこちから子どもたちが集まってきます。 そしてぐるんぱは幼稚園を開きます。 大きなお皿はプールに、大きなくつでかくれんぼ。 ぐるんぱはもう寂しくありませんでした。

初版が1966年のロングセラー作品です。 表紙をめくると手書きの味のある文字で「ぐるんぱのようちえん」とあり、すみに「これはぐるんぱがかいたじです」と印刷されています。なんだか楽しいはじまりです。 しかし次のページを開くと、汚くて悲しそうに横たわっているぐるんぱがいます。 ひとりぼっちで寂しくて、くさっていたぐるんぱは、周囲の助けもあって一念発起して社会に出ます。でもやる気が空回りしてうまくいかず、悲しい思いをする、そんなぐるんぱを必要とする子供たちに出会い、自分の居場所を見つけます。 子どもはもちろん、大人も楽しめるこの作品の魅力は、シンプルで語感のよい文章とカラフルでかわいいイラスト。繰り返しの楽しさ、話の展開の面白さ。 そしてなんといっても、おいしそうな特大ビスケット! 「ぐるんぱは、もう さみしくありません。 びすけっと、まだ たくさん のこっていますね。」 上質の絵本は時代を超えて愛される、ということが実によくわかる作品です。

ぞうのぐるんぱは、行く先々でとてつもなく大きなものばかり作って失敗ばかり。でも、最後につくった幼稚園は大成功。子どもたちが大喜びすることうけあいの絵本。

わたしが幼い頃、すきだった絵本の1冊です。
特に、ぐるんぱが大きな靴をつくっている場面と大きなお皿をプールにして子ども達があそんでいる絵は鮮明に覚えていました。
娘が生まれて絵本と触れ合う機会が多くなった今、書店でふと目にとまり娘のために購入しました。
懐かしい。でもそれだけじゃない。と思いました。
昔は感じなかった感情が溢れてきました。
これはぐるんぱの『自分さがし』の物語なんだ。
ぐるんぱは自分がどう生きるかわからない、考えない、行動できない。
仲間に背中を押されてやっと一歩踏み出す。
そのあと、ぐるんぱはいろいろなことを体験していく。
失敗を繰り返して、それでも次へすすんでいく。
最後にぐるんぱは気がつく。
今までやってきたことは決して無駄じゃなかった。
全てに意味があったんだ!
なんだか人生がこの絵本の中にあるような気がしました。
娘は、昔のわたしのようにただ物語を楽しんでいますが、
いつか、娘なりの解釈でぐるんぱの人生を読んでほしいと思いました。 (みいここさん 30代・ママ 女の子3歳)


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