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大きな柿の木のある家で双子が生まれ、一人が柿の木の苗木と共にもらわれていくことになった。表題作ほか代表的な中編4編収録。

「二十四の瞳」しか知らなかった壺井栄の中篇作品集を読んで、改めて終戦直後の家族というものを考えました。
どの作品も貧しい生活と、家族兄弟が背景に描かれています。そして大家族がある一方で、子どもに恵まれない家族がいます。「もらい児」などと今では耳馴れない言葉も出てきます。
作者自身の生活に裏付けされているのでしょうが、こんな時代があったことを噛みしめました。
どの作品も、それからどうなったのかを思わせながら終わります。その余韻が作品を膨らませています。 (ヒラP21さん 60代・その他の方 )
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