一人で早起きした男の子が、パジャマからお洋服に着替えてカーテンをあけると、外にはさわやかな朝の風景が広がっています。
「だれが いちばんに いうのかな?
『おはよう』って いうのかな。」
男の子がまず「おはよう」を交わしたのはとなりのおばあちゃん。植木に水をあげながら男の子とにっこり手をふりあいます。
おばあちゃんは、散歩中のおじいちゃんとも「おはよう」とおじぎを交わし、公園の犬は「ワン ワン」、塀の上のねこ同士も顔をあわせ「おはよう」をします。
ゆっくり目覚めていく町。「おはよう」がつながっていく町。
だんだんと景色が広がっていく絵のなかで、男の子の家から幼稚園までの風景が自然に描かれます。
町の「おはよう」を感じたぼくは、朝、どんなふうに支度をして幼稚園に行くのでしょうか。
先生にどんな顔で「おはようございまーす」って言うのかな?
細かく描かれたたくさんの「おはよう」と「にっこり」に、それぞれの人たちの暮らしがわかる絵探しも楽しめます。
ジョギングする人、登校する子どもたち、牛乳を配達する人、ごみ収集車の働く人たち、お茶を飲む人、お店を開ける準備をする人……。
見返しの地図「ぼくのまち」で、男の子がどの道を歩いたのか、お子さんと一緒にたどってみるのも楽しそうですよ。
あいさつや笑顔が、いろんな人やものとつながる最初の一歩なのかもしれません。
明るくはつらつと、すがすがしい心で1日をスタートできたら、どんなに楽しい1日になることでしょう。
お子さんと一緒に読み、おしゃべりすることで、心を見つめるひとときとなりますように。
(大和田佳世 絵本ナビライター)
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