
『ねこのはなびや』『ねこのでんきや スイッチオン』につづく、渡辺有一さんのねこやシリーズ第3弾! 前2作にひきつづき、あっと驚くしかけが最高の見せ場をつくってくれる絵本です。
江戸の町を守る、火消しや「ぶちねこ組」。 ぶちまるは、ぶちねこ組のかしらにひろわれた野良猫でした。 一人娘のおたまとともに家族の一員として育てられ、今ではいちばん若い火消しの見習い。 一生懸命やるぶちまるですが、あわてんぼうでへまばかり。 おたまにも叱咤激励されながら、たくさんの火消しの兄貴分たちとともに訓練に励んでいました。 「はやくいちにんまえのひけしになりてえなあ」とつぶやくぶちまるですが……。
ある夜、火の見番をしていたぶちまるは、近くの長屋から出火を発見! ぶちまるはあわてて半鐘を鳴らし、おたまは枕木をガンガンたたき、火消したちをたたきおこします。 さあ火事場へかけつけ、水をかぶり、燃え盛る火事場に飛び込んでいく、火消したち。 火事場の目印として、火事を食い止める家の屋根に立ち上げる、組の「まとい」はたいせつなもの。 まとい持ちは火消しの華。 半人前のぶちまるにその役が回ってくるはずはなかったが、あにいが足をすべらし転げ落ちた! 「ぶちまる、そのままてっぺんにあがって!」と叫ぶおたま。 ぶちまるははしごをかけのぼり、一気にまといを立ち上げます!
みどころは、絵本6ページ分のサイズにもなるダイナミックなしかけページ! 鮮やかな濃紺の空も、燃え盛る火の粉も、闇夜に輝く劇的な瞬間をばっちり描き出しています。 ぐっと盛り上がりしずかに波がひいていく、あとには心地よい緊張のあとがのこる……。 町を守る火消したちの夜、夜明け前までの、ながく思われる一夜はきっとこんな感じだったのでしょうね。
昔から「火事とケンカは江戸の華」なんて言いますが、いかにも「江戸」の風情のねこ火消したちのかっこいいこと。 「みずおけはこび」「おけかつぎ」「まるたあげ」「ちょうちんかざし」「ひたたき」「おおうちわふり」なんて訓練の絵も、本物の火消しそのままの風情です。 個性豊かな火消し組の長屋暮らし、ドラマチックな火事場の場面が心に残る絵本です。
(大和田佳世 絵本ナビライター)


ドジばかりの駆出しの火消し・ぶち丸が、一人前の火消しとして認められていくまでを夢、家族、愛といったテーマとともに描く。 江戸の町を舞台に、大迫力の火事場のシーンや、ダイナミックなしかけも入った絵本。

この絵本を楽しむのは、時代劇好きなお年寄りかも知れません。
命をはった火消したちの活躍を、想像できません。
江戸の火消しは消火というよりも、延焼を防ぐのが仕事だったのですね。
仕掛け絵本の醍醐味に、息を呑むようなシーンに、心揺さぶられながら、子どもたちにはかなり説明が必要な絵本だと思いました。 (ヒラP21さん 60代・その他の方 )
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