
84羽のペンギン家族は引っ越しを決めました。 なぜなら、地球がどんどんあったかくなって、ペンギンたちの氷のおうちがとけてしまったから。 「もっとすてきなばしょがきっとある」 そう信じる、うすべに色のペンギンたちは、つるつるの氷のお船にのって出発進行!
南にあるはずのきれいな海。 東にあるはずのきれいな原っぱ。 西にあるはずのきれいなお花畑。 北にあるはずのきれいな森。 うきうきわくわく夢を見て旅しても、ペンギンたちがたどりつくのは、真っ黒い海や黒いけむりが広がる場所ばかり。
ペンギンたちの期待でいっぱいの色あざやかなページから、黒いすすけた色におおわれたページにうつるたび、胸が痛くなります。 「このちきゅうには ぼくたちのすめるばしょは もう なくなってしまったのかな?」 ペンギンたちはどこへ向かうことにしたのでしょう。 最後にペンギンたちが口にした言葉は……?
2013年に日本人として初めて、ボローニャ国際絵本原画展で国際イラストレーション賞を受賞した刀根里衣さんの絵本。 そのファンタジックなイラストレーションには、なつかしさと新しさが感じられます。 「地球温暖化」という言葉を知らなくても、子どもたちは本書を読んでペンギンの引っ越し先に心を寄せるのではないでしょうか。たったひとつしかない「地球」にも。
うすべに色のペンギンたちは可愛くてやさしげで、なんだか弱い存在にも見えます。 黒く汚れた場所に行けば、体のきれいな色も見えなくなってしまいます。 でもじつは84羽のペンギンは、1997年の京都議定書に最初に署名した84か国を象徴しているそうです。 ペンギンたちの決意は、わたしたちにとっても大事な決意です。 最後まで読んで、作者のメッセージを感じてくださいね。
(大和田佳世 絵本ナビライター)



小さな子どもにもわかる環境を考える絵本
地球がどんどん暖かくなってきたので、ペンギンの家族は、居心地の良い場所を探してお引っ越しすることにしました。さて、すてきな場所が見つかるでしょうか? 小さな子どもにもわかりやすい環境絵本です。
イタリア在住で、世界で活躍する刀根里衣さんの新刊絵本。 刀根里衣さんのこのシリーズは、動物の家族・兄弟が主人公の幼児向けのストーリー絵本です。 「うさぎ」「ひつじ」「カエル」に続き、今回は「ペンギン」のお話です。
ペンギンの家族は、住んでいる氷が狭くなってきたので、もっとすてきな場所を探してお引っ越しすることにしました。 「南の方にきれいな海があるって聞いたよ!」 「よおし、いってみよう」 ところが、そこには、真っ黒な海しかありません。 「北の方に・・・・・」 どこに行っても、すてきな場所は、どこにもありません。
さあ、ペンギンの家族は、どうするのでしょうか? 住むのにぴったりなすてきな場所を見つけることができるのでしょうか?
物語に登場する84羽のペンギンは、1997年に開かれた地球環境を考える国際会議で採択された京都議定書に署名した84か国を象徴しています。
小さな子どもたちにも理解できる言葉で語りかけます。

刀根さんの環境への強い思いを感じた一冊。
84羽のペンギン家族が、暖かくなり氷のおうちが溶けてしまったので、お引っ越しをします。
北へ南へ東へ西へ。色々な場所へ向かいますが、どこにもペンギン家族が暮らせそうな場所はありません。
地球にはぼくたちが住めるところはなくなってしまったのかな、と地球を離れることにしますが、
ふと、振り返って地球を見た時に放つ言葉、そのあとのペンギンたちの行動に感動しました。
わたしたちにできることはまだある。
そんな意識があるかないかというのは、とても大切なことだと思います。
小さな子にも理解できる言葉で環境問題について訴えかけるこの絵本が、一人でも多くの人の目にふれることを願います。 (tori.madamさん 30代・ママ 女の子7歳、女の子4歳)
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