
ポーランドの動物保護シェルターで暮らすある黒猫の、実際にあったお話を絵本にしました。
ある日、シェルターに黒い子猫が運び込まれてきました。重い病気で、全身の毛も抜けていました。 「せめて少しでも楽に死なせてあげよう」スタッフたちはみんなそう思ったほどでした。 それでも、小さな体で一生懸命生きようとして、数ヶ月後、奇跡的に回復したのです。 あるとき、シェルターに今度は車にはねられ大けがをした犬がやってきました。 黒猫は、ベッドに苦しそうに横たわる犬をじっと見ていましたが、そっと近づいて、犬にぴったりと寄りそって、体をなでつけはじめました。 大きな犬を怖がる気配はまったくありません。 いつしか、ふるえていた犬は落ち着いて、静かに眠りはじめました。 それが、猫が看護師として働きはじめた最初でした−−。
看護ねこ・ラディのけなげな姿に、絵本を読む人も元気づけられます。 映画「ベイマックス」のコンセプトアートを手がけた上杉忠弘のイラストによる美しい絵本です。

自分も辛いめに遭ったのなら、攻撃的な性格、あるいは無関心な性格になってもおかしくないのに、ただ寄り添うという優しい心を持ってくれたラディ。
きっと動物介護センターに保護された時、それまでの自分の半生と比べたら、静かに温かく見守られていたから、心の安らぎを知ったのだろうなぁと思いました。
人間に対して行うアニマルセラピーのように、動物同士でも、優しさや温かさは伝わるのだろうなと感じられる、心温かになれるお話でした。 (hime59153さん 40代・ママ 男の子7歳)
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