「ゆうら ゆう らいいいいい きいの しいたあ ようううう」
もしも、森の奥からこんな奇妙な声が聞こえてきたとしたら。
あなたらどうするでしょう?
アリスは言うのです。
「たしかめにいきましょう!」
ジャックは言います。
「でも、こわーいオオカミだったら どうするのさ。
ぼく、おうちに帰りたいよ」
読者のほとんどが、ジャックの気持ちにうなずいたことでしょう。
でも、アリスは意思を変えません。
大丈夫だからと、ジャックの手をにぎって、森の中へと入っていくのです。
「はあは べえどおわあ かあでえ やあさあし まあすう」
どんな声で聞こえているのか想像するだけで、ドキドキしてきます。
アリスはどうして平気なのかしらね。確かめるために、どんどん奥へと進んでいきます。
その時…!?
この先の物語の続きには、ふたりの意外な行動と、思いもよらない優しい世界が待っています。もちろん、これはファンタジー。でも、子ども達が眠る前には、実にちょうどいい冒険の世界なのです。
「こわい!だけど たしかめたい!」
この絵本についている、キャッチフレーズ。
こんなこと言われたら、どうしたって、確かめたくなっちゃいますよね。オクセンバリーの描く美しい森の風景。そして、好奇心旺盛な姉アリスと、こわがりな弟の関係にも心癒されます。
(磯崎園子 絵本ナビ編集長)
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