岬の空の向こうから、白くてころんとしたものがパラシュートでまいおりてきました……それも大量に!
小さな耳に目はぱっちり、片手はあげてくるっと丸め、もう片方で千万両小判を押さえて持つのは、まぎれもなく「まねきねこ」。
なぜまねきねこが? こんなにたくさん空からふってくるの……?
なんて考える暇もなく、着陸したまねきねこが一斉に動き出し、あっという間に町はまねきねこだらけ。
海沿いのおしゃれな町を、まねきねこは席巻します。
「ドコダ ドコダ ドコダ ドコダ……」
一体何を探しているのでしょう?
「イタゾ」「イタゾ」と、まねきねこが立ち止まった場所にあったのは、だるまだ!
みんなびっくり。立ち止まった場所からどかそうとするけれど、端によけてもすぐ元の位置に戻ってしまうんです。
待望の復刊を遂げた『だるまだ!』の続編。なんとも言えないほど軽快でおしゃれで、なぜか「和風」な感じは健在です!
続きはぜひ絵本を見てもらいたいのですが、夜、にゅっと足を出したまねきねこがだるまを抱えて走り出す、そのシュールさ……圧巻なのです。
じっと見つめられているようでどこも見ていないような、まねきねこの不思議な目。夜の暗がりから、宵闇になり、空が白んで明るくなっていく美しさもぜひ味わってほしいところ。絶妙な色使いがファンにはたまりません。
この1冊で十分面白いけれど、『だるまだ!』『まねきねこだ!!』と2冊並べて味わうとまた魅力倍増。
これは読まないと分からない! “高畠那生ワールド”ぜひ体験してくださいね。
何度ページを開いてもくすっと笑っちゃう。癖になる、ナンセンス・ユーモア絵本です。
(大和田佳世 絵本ナビライター)
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