
すてきな箱に入れる宝ものを探しにでかける王さま。 王さまの宝ものは、王さまが探さなくてはなりません。
りっぱな冠(かんむり)をかぶり、おしゃれなマントを羽織って街を歩きたからものを探す王さま。暮れなずんだ街の灯りに浮かびあがる、色とりどりのお店と、嗜好を凝らした素敵な商品。深い森の中、話し声が聞こえるようないきいきとした樹々や、王さまにやさしく寄り添う愛くるしい動物たち。きらきらと輝く満天の星……。
作者の糟谷奈美さんが深い意図のもと、細密に描き込んだ魅力的な造形や、多彩で光に満ちた色彩、そして何よりも物語の世界を大きく増幅させる幻想的なイラストレーションは、中世のヨーロッパ、いえいえ、おとぎの国の物語をほうふつとさせて、私たちの心をひと時、夢のような心躍る世界に連れて行ってくれます。
簡単ではないたからさがしに心が折れそうな王さまが、森のどうぶつたちに支えられながら、ある出会いによって……。 誰かのために一生懸命になること、助けたいと思うこと。 自分の中に、みんなの中にある、やさしい心。 愛する心。
そんな、ほんとうに大切なたからものを、王さまと一緒に探してみてください。

8歳になる息子は、欲しいと思ったものは必ず手に入れるぞ、とばかりに宝物にするから、とねだります。
そしてやはり、きれいな箱を見つけると、大切なものを入れるから、と言って欲しがります。
このおうさまの、美しい箱に入れるための宝物を捜しに行く、かわいいイラストが息子と重なりました。
でもおうさまの宝物にしたいものは、すてきなおもちゃや、美味しそうなお菓子ではありませんでした。
宝物が見つからないと泣いてしまい、動物たちに慰められたおうさまは、その後、自身のやさしい心を見つけました。
きれいな箱は、何かを入れなければならない、なんてことはなくて、だれかのために、大いに役立てることが、できるのです。
おうさまの箱、つまりはおうさまの心は満たされて、箱には思い通りの宝物が入っていました。
わくわくするぐらいのお話に合う素敵なイラストが、ほっこり優しい世界に連れて行ってくれました。 (星とキラキラさん 40代・ママ 男の子8歳、男の子2歳)
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