
「おやすみ、ウイリー。 あした、きみ がっこうへいくんだよ。」
大丈夫、学校って素敵なところさ。 だから、おやすみ。 君は大きくなったんだから、灯りを消しても寝れるよね。 ……でも、今夜だけ。
「ウイリー? まだおきてるの?」
のどが渇いてるんだ! ぼくも飲んでいい? ああ、落ち着いた。 もう寝れるよね。
一晩寝たら初めての学校の日。楽しみだってあるけれど、やっぱりちょっと落ち着かない。不安だってある。だけど、ぼくだってこんなに大きくなったんだから、きっとがんばれる。先生に会って、給食を食べて、友達にも会って……。
行ったりきたりの気持ちを聞いてくれるのは、大好きなクマのぬいぐるみ、ウイリー。新しい一歩を踏み出そうとする彼を見送ってくれるのだって、ウイリー。自分をはげまし、奮い立たせる方法は色々あるし、ちょっぴり時間だってかかるもの。この愛らしくも健気なやり取りこそ、大切で邪魔をしてはいけない瞬間なのです。
さあ、いってらっしゃい。急がなくても大丈夫、 ウイリーと一緒に、その背中をしっかり見守っているからね。
(磯崎園子 絵本ナビ編集長)

「おやすみ、ウィリー。あした、きみがっこうへいくんだよ」。はじめて学校へいく前の晩、希望と不安にゆれる男の子は、その気もちをぬいぐるみのクマにかたりかけます。自分をはげまし元気づけようとする少年の心を、あたたかいタッチで伝える絵本。

主人公の男の子は、明日から学校に通います。
たぶん、ドキドキして眠れないのでしょう。
ベッドに入ってからも、おもちゃのベッドに寝かせたぬいぐるみのウイリーに、たくさん話しかけます。
夜が少しづつ深まって、空が黒く黒くなっていきます。
それでも眠れずに、男の子はウイリーの世話をします。
たぶん、不安なのでしょう。
ウイリーに言う言葉は、男の子自身が言ってもらいたい言葉。
ウイリーにすることは、男の子自身がしてもらいたいこと。
安心したくて何度も何度も話しかけ、しまいには自分のベッドに入れて、一緒に寝てしまいます。
男の子は、朝にはちゃんと準備をして出かけます。
夜の間の不安を見てきた読者のお子さんたちは、
「おとこのこが がんばったんだから、 ぼくも(わたしも) がんばらなくちゃ」
と、自分を奮い立たせることでしょう。 (めむたんさん 40代・ママ 男の子18歳)
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