
『リズムがみえる』は、ダイナミックな絵とリズミカルで詩的な文章で、アフリカ系アメリカ人の音楽の歴史を紐解くユニークな絵本。 黒人音楽のルーツである16世紀のアフリカ音楽から始まり、奴隷歌、ブルーズ、ラグタイム、初期のジャズ、スウィング、ジャズ・ウーマン、ビ・バップ、クール、ゴスペル、R&B/ ソウル、ファンク、そして、現代のラップ/ヒップホップという流れを、キング牧師の演説などの歴史的な出来事や、モータウン・レコードの設立などの音楽シーンの動向と共に理解することができます。 そして、文章中にはところどころに『say it loud im black and im proud』などの有名な曲名が織り込まれており、これには音楽ファンも納得。
アメリカ南部の大農園での労働歌のリズム。ニューオーリンズのバルコニーから見るジャズのリズム。ハーレムのクラブ・サボイではスイングのリズムに乗って踊ろうと誘い、日曜の朝の教会の信者席でゴスペルのリズムを聞く喜びを分かち合おうと招待される。そして、現代のヒップホップへと続く本書は、読者を時を超えた音楽の旅に連れて行ってくれます。
コレッタ・スコット・キング賞、多文化児童書賞、ジェーン・アダムス絵本賞受賞作。

教文館さんの2月のイベントでこの本を取り上げていたので、気になって読んでみました。
素晴らしい内容でした。
監修したトヨミ・アイガスさんが「はじめの言葉」で語ってくれていますが、この本は、アフリカ系アメリカ人の音楽の歴史をアートで描いた作品です。
奴隷商人によって否応なくアフリカから新大陸へ連れてこられたアフリカ人奴隷。彼らの心の叫びが新しいリズム(歌)として誕生し、ある時「ブルース」というリズムの形を生んだのですね。
しかも、その後も彼らの時代の境遇によって、リズムは形を変え、
「ラグタイム」「「ジャズ」「スウィング」「「ビバップ」「「ゴスペル」「ブルーズ」「ソウル」「ブラック・ロック」そして、「ラップ」や「ヒップ・ホップ」へと、新しいリズムが誕生していったなんて、すごいです。
このアフリカ系アメリカ人の歴史と音楽の歴史を融合させて、絵本にしてしまおうというトヨミさんの考え方、斬新で面白いと思いました。
アートはミシェル・ウッドさんという方が描いてくれています。
鼓動を感じる力強いタッチの絵でした。
解説がたくさんついているので、読み聞かせには向きませんが、何かの折に子どもたちに紹介したい1冊です。 (てんぐざるさん 50代・ママ 女の子23歳、女の子18歳)
|