
夏のある日、小さなおばけのドッチがアッチに会いに空を飛んできました。暑くてふらふらのドッチのために、アッチはフルーツポンチを作ろうとしますが、ドッチは自分も作りたいと言いだします。ところが、くだもののきれはしで小さなお城を作ったまま、ドッチはいなくなってしまいました。ドッチをさがすため、アッチが体を小さくしてお城の中に入ると、そこは大きなお城の大広間で、ドララ王女とドッチ王子がいました! アッチは二人のためにフルーツポンチを作ることに……。 「アッチ・コッチ・ソッチの小さなおばけシリーズ」刊行から50年。親から子へ、そしてさらに次の世代へ読み継がれゆく角野栄子のライフワーク・シリーズ!

暑い夏の日、小さなお化けのドッチがアッチのレストランに訪ねてくる。母が厚さでダラーンとしているのでどうにか元気になって欲しい。そんな時はフルーツポンチ。二人はそれぞれ作り始めるが、いつの間にかフルーツのお城がそこにあり、妙な世界に入り込んでしまう。
夏バテしてダラーンとした様子、宝石のように美しいフルーツポンチ、不思議なお城の中の澄んだ空気感など、生き生きと表現された絵が素晴らしい。色とりどりでちょっと昭和レトロな雰囲気があるフルーツポンチが妙に嬉しい。子どもの頃、小学校の給食で出たのは白玉団子入りで、缶詰の果物やバナナが入った安い味わいだったが、みんな大好きで取り合いになっていた。大人になってからはフルーツポンチなど見る機会もなかったから、余計に新鮮に感じた。
自分で作ったことはないので、今度、果物をいろいろ混ぜて、ソーダ水などを入れるこの本の作り方で作ってみよう。フルーツポンチを題材にファンタジーを紡げる作者の感性が素敵だ。 (渡辺諦さん 40代・その他の方 )
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