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もうひとつの曲がり角

もうひとつの曲がり角

  • 児童書
著: 岩瀬 成子
絵: 酒井 駒子
出版社: 講談社 講談社の特集ページがあります!

税込価格: ¥1,540

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作品情報

発行日: 2019年09月26日
ISBN: 9784065168806

判型:四六/ページ数:258ページ

みどころ

「知らない道って、こうやってどこまでものびているんだなと思った。この道も先のほうではきっとまた別の知らない道につながっていて、その道もまたどこまでものびて、どこまでもどこまでも道は続いているのだ。」

市の西側から東側に家族と共に引っ越してきた小学五年の朋と、中一の兄。念願だった新しい家を手に入れた母は、これまで以上にてきぱきしていて何に対しても積極的で、朋にも英会話スクールを勧める。「行きたくない」と言っても聞き入れられず、通うことになった英会話スクール。けれども朋は、英会話を好きになれそうになく、違和感を感じます。ある日、英会話スクールが休講となり、ふと、行ったことのない道に行ってみようと、先のT字路にある白い花がちらほら咲いている木が立っている家から別の方向にのびている道へ。昔ながらのお店や、古びた感じの家々を通り過ぎると、女の人の声が聞こえてきて‥‥‥。そこで出会ったのは、木に囲まれた小さな庭でひとり朗読をするオワリさんという小さなおばあさんでした。
「朗読をきいていただいて、どうもありがとう」
「よかったら、またいらっしゃい」
オワリさんの不思議な朗読が聞きたくて、その後も英会話スクールに行くフリをして、たびたびT字路の曲がり角を曲がる朋。けれども、なぜか別の道にたびたび迷い込んでしまい、そこには、みっちゃんという女の子がいるのでした。

「あの道のことを考えようとすると、どうしても頭の中がごちゃごちゃしてくる。T字路のところをまちがえないように気をつけて曲がったつもりでも、いつのまにか、どこかでちがう道に入りこんでしまってるのだ。あの道と、もう1つの道がどこでどうつながっているのかがわからなかった。」

オワリさんへと続く道と、みっちゃんへと続く道。
なぜ同じ道を曲がっても別の場所についてしまうのか? 朋と一緒に混乱しながらも、次第に解明への糸口が見えてくる過程にドキドキさせられます。

新しい生活へのとまどい、客観的に見えるようになった母や父の姿、英会話スクールに感じる違和感と、違和感なく受け入れているように見えるクラスメートの中での孤独‥‥‥さまざまな思いに揺れる朋の内面に、オワリさんとの交流や、みっちゃんとの交流が、変化をもたらしていきます。それと同時に、オワリさんも朋との交流によって、子どものときの気持ちをさまざま取り戻すのでした。そんな朋とオワリさんがお互いに影響しあう姿がみずみずしく、二人が過ごす時間は朗読の素敵さや庭の自然の豊かさも相まって、きらきら輝いているようです。また中学生の兄の存在も注目どころです。「お兄ちゃんは家を引っ越したからか、知らない子ばかりの中学校に入ったからか、それとも中学生になったからか、まえとはちょっと感じがちがってきた。どこがどう、とはっきりはいえないけれど、なんだかもう子どもでいるのはやめた、というような顔をしている」そう朋が感じる兄もまた大きな成長の過程にいて、朋と抱えているものは違えども、兄の存在が、内面的に孤独になりそうな朋を支えているようにも感じられます。

読む年齢によって、さまざまな感じ方ができる作品ではないかと思うので、小学五年生ぐらいから大人の方まで幅広い年齢の方におすすめしたいと思います。私自身は読みながら、朋の気持ちになったり、朋のお母さんの気持ちになったり、オワリさんの気持ちになったり、いろんな目線になりながら、心がさまざま揺り動かされました。けれどもやっぱり一番は、朋と同じぐらいの年齢の高学年から中学生にこの作品が届いてほしいと願ってやみません。

家と学校とどこにも逃げ場がないような、どこか窮屈さを感じていることがあったら、そんな思いにとらわれていたとしたら・・・・・・。もうひとつの道や世界が存在しているということにこの作品を読むことで気づけた時、どれぐらい気持ちが軽くなることでしょう。

最後に、絵本作家の酒井駒子さんの挿絵は、表紙と裏表紙のみなのですが、この絵の存在感は大きく、お話を読む間、ずっと頭の中にイメージとしてあり続けました。酒井さんの絵もまた、不思議な「もうひとつの曲がり角」の世界への入り口へ心地良く誘ってくれるようです。


(秋山朋恵  絵本ナビ編集部)

出版社からの紹介

野間児童文芸賞、小学館文学賞、産経児童出版文化賞大賞、IBBYオナーリスト賞など数々の賞を受賞する岩瀬成子氏の最新長編作品。

柵には半開きになった木の扉がついていて、その扉に「どうぞお入りください」と青色のマジックで書かれた板がぶらさがっていた。
「いやだ。あたしはそんなところへは、ぜったいに入らないから」ときこえた。
 えっ。どきんとした。
庭木のむこうからだった。わたしにむかっていったんだろうか。
 わたしは耳をすまして、木々にさえぎられて見えない庭のようすをうかがった。
しんとしていた。
だれがいるんだろう。
わたしはぶらさがっている板をもう一度見た。
それから足音を立てないようにして、そっと扉のあいだから庭に入っていった。しかられたら、すぐににげだすつもりだった。ちょっとだけ、のぞいてみたかった。──本文より。

小学五年のわたしと中一の兄は二ヶ月前、母の理想の新しい家、市の東側から西側へ引っ越してきた。この町で通い出した英会話スクールが休講だったので、わたしはふと通ったことのない道へ行ってみたくなる。道のずっと先には道路にまで木の枝が伸びている家があり、白い花がちらほらと咲いて・・・・・・。

日本絵本賞、講談社出版文化賞、ブラチスラバ世界絵本原画展金牌、オランダ銀の石筆賞など受賞の酒井駒子氏による美しい装画にも注目!

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もうひとつの曲がり角

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