
○あらすじ 節分の夜のことです。どのうちからもまめをまく音がして、おにの子のおにたは、いくところがありません。つのをかくす古いむぎわらぼうしをかぶって、まちを歩いていきました。ようやく小さな橋をわたったところに、まめのにおいのしない家をみつけました。そこには、おんなのことおかあさんがすんでいました。おかあさんは病気でした。てんじょうのはりの上で、ふたりのようすをみていたおにたは、おんなのこをよろこばせてやりたいと思います。
○編集部より おんなのこを思いやるおにたの気持ちが、せつなくいじらしく、いわさきちひろさんの絵とともに、いつまでもこころにのこります。あとがきで作者のあまんきみこさんは、「どうも、このごろのオニは、帽子をかぶりたがっている気がします。そして、雲霧四散したがっているようにさえ思われてきました」と書かれています。・・・おにたは今、どこにいるのでしょうか?

姿は鬼だけど、本当は心優しいおにた。
お腹をすかせた女の子のために、雪まみれになってごちそうを用意するおにたの優しさに心が和みました。
しかし、女の子の「鬼が来ればお母さんの病気が悪くなる」の言葉に打ちひしがれ、姿を消してしまうおにた。
おにたは豆に姿を変えて、完全に消えてしまったのでしょうか。
ぱらぱらと静かな音でまかれる豆が、おにたの涙のような気がしました。
お話だけでも心を打つものですが、いわさきちひろさんの絵の美しさがこの作品の切なさと美しさを倍増させていると感じます。 (ともっちーさん 40代・ママ 女の子8歳、男の子4歳)
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