
“赤ちゃんができたの” 本当はそう言いたかったけれど……。
「おめでとう、8週目くらいね!」医師の言葉に、クレアは呆然とした。 仕事一筋で来たので、子供のことなんて考えてもみなかったのだ。 お腹の子の父親である大富豪ラクランだって、きっと同じはず。 “ぼくは自立したきみが好きなんだ。だからこそ、 ぼくたちは刺激的な関係でいられる”と、彼は言ったのだから。 所詮、快楽の相手としか見られていないということ。 なかなか妊娠を告げる勇気が出ないクレアを残し、 ラクランは3週間の海外出張に出かけてしまった。 これまでだって、私はいつも独りで生きてきたようなものだわ……。 彼が帰国したとき、クレアは心に決めていた――未婚の母になることを。
HQイマージュ〜至福の名作選〜より、大ベテラン作家L・アームストロングが描いた、“予期せぬ妊娠”をめぐりすれ違う切ない愛の物語をお贈りします。クレアがラクランの子を身ごもったことで、ほどよい距離感だった関係が崩れてしまうのか、はたまた……?
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