
いつもの散歩道、ふと見上げた視線の先にいたのは野良猫。 じっと見ていると、向こうもこちらを振り向き……目が合った。
広い野原で草を食べる牛たち。 気が付くと……自分がかこまれている! べろん。
草かげに見つけたカマキリ、柿の実をかじるネズミ。 高い木の上に見えている可愛い顔、 雪だるまのような姿のあの子も。
「みたら」 「みられた!」
なんて迫力のある目、なんて緊張感のある空気。こちらがそっと見て楽しんでいたつもりが、ふと目があってしまう。じっと見られてしまう。嬉しいような、くすぐったいような。ドキッとするけど、何かが通じ合ったような喜びもあり。
大好きな生きものたちとのささやかなコミュニケーションを、大胆に切りとり、高揚感あふれる一冊の絵本にしてしまったのは、木版画で作品を生み出す絵本作家竹上妙さん。竹上さんご自身が、かつて長野で牛にかこまれたときの衝撃をきっかけに「見たら見られた」というテーマでの作品づくりに取り組まれてきたのだそう。その集大成とも言えるこの絵本では、ダイナミックで迫力があるけれど、どこかユーモラスな表情をした動物たちの魅力が存分に味わえます。鮮やかだけれど、風合いのある色味もとっても素敵。
……あ、見られてる!
表紙を見るたびに、ハッとしてしまうのです。
(磯崎園子 絵本ナビ編集長)

野で、山で、いつもの散歩道でふと目があった生きものたち。ときには気まずいこともあるけれど、ハッとして、ドキッとする。なにかが通じた(気がする)心躍る瞬間をのびやかに描く木版画家・竹上妙の原点となる絵本。

下校途中に出会う、鳥や猫と目が合ったときのことを思い出しました。
「みたらみられた」というだけのことなのですが、目が合ったときの好奇心と吸い寄せられる不思議、流れる静かな無の時間。よく現されているなあ、と感動しました。
目がはっきりと描かれているため、0歳からでも眺めて楽しめるのでは?と感じました。
我が家は動物に興味を持ち始めた1歳児も指差しで楽しめました。3歳児へは、独特の挿絵の雰囲気から、わくわくと怖さを感じられたようで、「こわいね」と縮こまるようにつぶやいていました。
年齢や年代で様々な感想がもてる絵本ですね。 (kankanさん 30代・ママ 男の子3歳、女の子1歳)
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