6歳の私と、“私のうまれるずっとまえから私のそばにいた”人形の「なおみ」。この「ふたり」の交流と別れを通して、子どもの「時間」を美しく描き出した写真絵本です。
主人公の少女と市松人形の「なおみ」の生活を追った写真絵本です。
なおみの目は何を見つめているのでしょう。
その瞳に魔力を感じたところから、後姿も、窓辺の姿も、とても不思議に思われました。
主人公の少女と寝ていても、閉ざすことのない瞼に奥深い情を感じます。
なおみの底知れぬ存在感の強さに、読んでいる自分が緊張してしまいました。
少女の生まれるずっと昔から、なおみはその姿で生きてきたのです。
成長していく少女と、不変であり続けるなおみのコントラストが痛々しくなってきました。
そして、突然なおみは「死んで」少女のそばからいなくなります。
なおみの不在が、かえってなおみの存在感を高めるような気がします。
少女が母親になった時、なおみは屋根裏部屋から昔のままの姿で現れます。
写真家沢渡さんのストーリー性にある写真集です。
成長していく娘と不変であり続けるなおみが、次世代へと話を続ける予感で、絵本は終了します。
谷川さんの詩が淡々としていて、少し突き放した感じ思えました。
明らかに大人目線の写真絵本です。
市松人形を持つには、覚悟が必要なようです。 (ヒラP21さん 50代・パパ 男の子14歳)
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