ひとりで過ごすかけがえのない時間『しずかな夏休み』【NEXTプラチナブック】

ある夏のこと。少年が家族とともに車で街を抜け、橋を渡り、向かったのは遠い田舎に住む祖父母の家。窓から見える庭の小道に誘われ、愛犬とともに大木の生い茂った深い森へと歩いていく。道が細くなっていき、ふと顔をあげると、目の前には美しい湖畔が広がっていた!
誰もいない広い湖に潜り、桟橋でひとり横になって日差しを浴び、静かに時間は過ぎていく。賑やかな夕食をすませると、すっかり暗くなった外へ出て、愛犬と一緒に空を見上げる。その漆黒の夜空に輝く星々は……。
雄大な景色に触れ合い、心の中からじわじわと湧き上がってくる静かな感動。それは、彼にとって間違いなく忘れられない景色であり、忘れられない時間となるのだろう。その記憶を刻み込むようにじっと佇む少年の姿を見ていると、いつしか読者も同じ経験を味わっているかのような気持ちになるのです。
その大切なひと時を、文字のないモノクロームの世界で描き出しているのは、韓国とイギリスでデザインを勉強し、現在イラストレーター、グラフィックデザイナーとして活躍されているキム・ジヒョンさん。初めて手掛けた創作絵本なのだそう。異国情緒がありながら、どこか懐かしい湿度を感じる魅力的な場面の数々。静けさに浸りたくなった時には、そっと一人で開いてみてほしい。そんな1冊です。
(磯崎園子 絵本ナビ編集長)

ある夏のこと。家族とともに田舎へ帰省した少年は、愛犬を連れて森に向かう。大木がおいしげった深い森を抜けると、その先には美しい湖が広がっていた。雄大な自然との触れ合いから生まれる静かな感動に満ちた文字のない絵本。

韓国の作家さんによる字の無いほぼモノクロの絵本作品。
主人公の男の子は、どうやら、両親と一緒に、田舎の祖父母の家にやって来たようです。
町中から、山奥へ。
そして、犬と一緒に森を探検します。
ふと見つけたのは水辺。
え?飛び込むの?
まあ、なんて素敵な時間。
ほぼモノクロの絵ですが、それだけに、意外に色彩豊かに感じます。
そして、文章がないことで、無音が紡ぐ音を感じます。
圧巻は、満天の星空。
まさに絵本の醍醐味です。
小学生くらいから大人まで、感性を澄ませて感じてほしいです。 (レイラさん 50代・ママ )
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