
ジェニーは、大好きなおば様から、新しいぼうしのプレゼントが届くのをとっても楽しみにしていました。「おおきくて、はなが たくさん ついていて、きっと―― びっくりするほど おしゃれなんじゃないかしら!」
でも待ちに待っていたぼうしは、ジェニーの想像とは違いました。真っ白くて、つばが広くて、リボンもきれいな色だけどシンプルで……。ジェニーには「さびしい ぼうし」。涙をこらえてそれをベッドの下にしまいこんだジェニーは、何とか素敵なぼうしを手に入れたいと考えますが……。
ジェニーが、植木鉢やテレビのアンテナなど、へんてこなものを頭にかぶって、理想のぼうしを思い描くシーンはクスッと笑いたくなります。おば様からプレゼントされた白いぼうしのほうがよさそうだけど……? そう思っていると、後半は、作者エズラ・ジャック・キーツの華やかなコラージュで、驚くほど美しく面白いぼうしに! キーツの絵のファンなら、更にぼうしの絵柄を楽しめるでしょう。
アメリカ、ニューヨーク市ブルックリン生まれのエズラ・ジャック・キーツは、『ゆきのひ』(偕成社)でコルデコット賞を受賞。『ピーターのいす』(偕成社)も有名で、子どもの健やかな自立心や、繊細に揺れ動く感情をみずみずしく描く作家です。本書はキーツには珍しい女の子のおはなしで、可愛いものに心をときめかせる気持ちが味わい深く、繰り返し読みたくなる絵本です。
(大和田佳世 絵本ナビライター)

ジェニーはおば様から新しいぼうしが届くのをこころ待ちにしていました。でも、届いたのは思いえがいていたはなやかなぼうしとは、ほどとおいシンプルなぼうし。ジェニーはしかたなく、そのぼうしをかぶって出かけていきますが、まわりのみんなの素敵なぼうしが気になって仕方ありません… エズラ・ジャック・キーツでは珍しく女の子が主人公のお話。かわいいものが大好きな女の子の気持ちがあふれる夢いっぱいの絵本です。

私の今は亡き母はぼうしが大好きでした。今も形見としておしゃれなぼうしを大切にしています。それだけにこの本は興味深く読ませて頂きました。これはとても面白くて、心地よいお話です。この本を読みながら、あらためて幸せとは何かを考えました。私はぼうしが大好きです。毎日、ぼうしを被っています。これは素晴らしいお話だと思います。 (水口栄一さん 60代・その他の方 )
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