
このふとっちょで、ふてぶてしい顔をしたねこの名前は「ニャンイ」。弱いものいじめばかりをするふだつきのねこ。そして、あろうことか、生まれたてのたまごが大好物なのです。
ある春の朝。ニャンイは鳥小屋で美味そうなたまごを見つけます。
「いただきます」
すると、ニャンイのお腹は日に日にふくらんでいき、トイレにかけこみ、うーうーうーんとふんばって出てきたのは……ひよこ!! どういうこと? どうしたらいいのか? とまどいながらもひよこを「ピヤキ」と名付け、見守る生活が始まります。その姿はまるで……。
手作り人形を撮影する独自の技法で話題となった、韓国の大人気絵本作家ペク・ヒナさんの初期の作品。全編イラストによって構成されています。迫力のある表情のニャンイと、愛らしい動きをするピヤキの組み合わせは、味わい深くて魅力的。「大好物から生まれた家族愛」なんて、奇妙な設定。なのに、なんだか可笑しくてあたたかな気持ちになってしまうのです。長谷川義史さんの訳が、ニャンイのキャラクターにしっくり。やっぱりクセになってしまう、ペク・ヒナ作品なのでした。
(磯崎園子 絵本ナビ編集長)

だいこうぶつからうまれたのは、愛だった!ふとっちょでくいしんぼうで、よわいものいじめをする、ふだつきのねこ、ニャンイ。ご近所さんから「やっかいもののニャンイ」とよばれていました。ある日、大好物のうまれたてのたまごを食べたところ、日に日におなかがふくらみ、うーうーうーん、とふんばると、出てきたのはうんこではなく、ひよこ!!とまどいながらもうまれたひよこを「ピヤキ」とよび、いっしょに過ごすうちに…。

いかにも悪そうで嫌われものの猫なニャンイが、ひよこを生みました。
とんでもない話ですが、こんなかたちで子どもが生まれてきても、子どもは親に母性を与えるというお話でしょうか。
それまでは疎まれていた存在が、「ピヤキのママ」としての立場を認知されました。
「※ちゃんママ」というネーミングが、今は懐かしい響きに思い出されますが、この絵本、人間社会に置き換えると、とてもシニカルに思えます。
今までのペク・ヒナさん作品のテイストとの違いに驚きました。 (ヒラP21さん 60代・その他の方 )
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