ふたりの心をつないでいったのは? 『ねこ と ことり』【NEXTプラチナブック】

ねこの仕事は、こぶしの木の小枝をきれいにたばねること。 毎朝トラックが、たくさんの小枝を家まで運んできてくれます。
ねこが窓を開けて仕事をしていると、ことりがやってきました。 細い小枝が7本くらい必要だと言うことり。 1度に7本もあげてしまうと仕事にならないので、ねこは1日1本ずつ分けてあげることにしました。
できないことをできないと言ってはねつけてしまうのではなく、なんとかしてあげようというねこが素敵です。何に使うのか、詮索をしないところも。
毎日小枝をもらいに来ることり。ねことことりの距離は少しずつ穏やかに近づいていきます。 ふたりの交わす会話は優しくて心地よく、ずっと続いてほしいと思うくらい。 でも、最後の小枝を受け取ったことりは、お別れを告げて飛び立っていきました。
ことりが来なくなって、心にぽっかりと大きな穴が開いたねこ。 ことりはどんな風に過ごしているのでしょうか。小枝はちゃんと役に立ったのでしょうか。
なかの真実さんが描く動物や野山の風景は綿密で美しく、どのページも飾っておきたくなるくらい素敵で、この物語にぴったり。絵にもお話にも、素敵がいっぱい詰まった『ねことことり』。そうっと優しく触れるようにページをめくってみてくださいね。
(近野明日花 絵本ナビライター)

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー ◎◎ 子どもから大人まで響く、珠玉の絵本 ◎◎
●注目の作家・舘野鴻と、細密画家の新生・なかの真実が紡ぐ、心あたたまるファンタジー。
●環境が違っても、互いを思い、歩み寄るー ねことことり、それぞれの視点から見える、しあわせ”とは?
●日々の営み、共生、命の循環を、 美しい細密画でドラマチックに描きます。 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
ねこの しごとは、こぶしの 木のこえだを たばねることです。 あるあさ、ねこが しごとを しようとすると、 まどに ことりが とまりました。 「……おねがいがあります。 そこにある こえだを、すこし わけて もらえないでしょうか?」 いまにも なきだしそうな ことりをみて、ねこは いちにち いっほんずつ、こえだを あげることにして……。
特別な枝を求めて、猫のもとへやってきた小鳥。 異なる環境のなかで、密接に交わり合うふたり―― 互いに歩み寄る思い、幸せの価値を描いた珠玉のファンタジー。
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表紙のねこと花の組み合わせが美しく、とても新鮮だったので、読みたいと思いました。
小枝を束ねる仕事をしているねこと、その枝を求めてやってきたことりのお話。
ねことことりがお互いを思いやる優しさを感じ、じんわりとあたたかくなりました。
最初は花に囲まれてもにおいが分からなかったねこ。「いいにおいが分からなくたってきみのうたがきけたらじゅうぶんさ」なんて、素敵なセリフを言うなぁと感激しました。
舘野鴻さんといえば、『ぎふちょう』や『しでむし』など、細密画の絵本が有名ですが、おはなしもとても素敵ですね。 (クッチーナママさん 40代・ママ 女の子18歳、女の子15歳、男の子13歳)
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