オオカミのグーはおかあさんがきらいでした。
それは、おかあさんがイタチだからです。
「やーい、おまえのかあさん イ・タ・チー」
みんなにそういわれるたびにはずかしくて・・・。
捨て子だったグーはイタチのおかあさんに拾われ、かわいがられて育ったのです。
「そのことはうれしいけど、いまのグーにとっては、ともだちにバカにされないことのほうがたいせつです」
グーはおかあさんのことを知られないよう遠くに行って遊ぶようになり、どんどん大きくケンカも強くなっていつのまにかグループのリーダーになりました。
あるとき対立する隣山のオオカミたちがひきょうな手段でグーをおそいます。
やられてしまいそうになったとき、岩かげから小さな黒いカゲが飛び出して・・・。
「かっこいい」「強い」ことが大事な、年頃の男の子。
嫌がられるとわかっていても、つい心配して様子を見に行ってしまう母。
子どもの気持ちで読んでも、親の気持ちで読んでも、感情移入して切なくなります。
ユーモラスななかに独特の純情が感じられるお話絵本は、さすがきむらゆういちさんと宮西達也さんのコンビ!
読んだ子どもたちの心にどんなものを残してくれるでしょうか。
続編に『オオカミグーのなつかしいひみつ』がありますよ。
(大和田佳世 絵本ナビライター)
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