
「ここへ畑を起こしてもいいかあ。」「いいぞお。」森が一斉にこたえました。人が自然の声にちゃんと耳をすまし、礼儀をつくしていた時代。人と自然との仲は、豊かで温かくユーモアに満ちたものだった・・・。現代こそ見つめ直すべき、賢治が提示した人と自然との関係を片山健が力強い油絵で温かく描ききった渾身作。
▼「宮沢賢治の絵本」シリーズ
【著者プロフィール】 片山 健 1940年東京生まれ。武蔵野美術学校商業デザイン科卒。「ゆうちゃんのみきさーしゃ」(村上祐子/作 福音館書店)で絵本制作を開始。以来、多くの絵本を描き続けている。「きつねにょうぼう」(長谷川摂子/再話 福音館書店)で日本絵本大賞受賞。「タンゲくん」(福音館書店)で講談社出版文化賞絵本賞を、「でんでんだいこいのち」(今江祥智/文 童心社)で小学館児童出版文化賞を受賞。主な絵本に「おなかのすくさんぽ」「おやすみなさいコッコさん」「おーくんおんぶ」(以上福音館書店)「3びきのくま」(千野栄一/訳 三起商行)など多数。

『きつねにょうぼう』や『たのしいふゆごもり』など、片山健さんの勢いのある美しい絵の大ファンなので、片山健さんが描く宮沢賢治のおはなしにとても興味を持ちました。
冒頭すぐに小岩井農場という地名が出てきて、行ったことがあるのでなんだかとてもうれしくなりました。
「ここへ畑起こしてもいいかあ。」と人が訊ね、「いいぞお」と森が一斉に答える。素朴な温かみをもつ自然の大らかさが伝わってきます。
季節が移り変わり、土地がどんどんと開かれていく様子を見ながら、自然の偉大さを感じました。
森(自然)が主役のおはなしです。 (クッチーナママさん 30代・ママ 女の子9歳、女の子7歳、男の子4歳)
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