
書き出しで、店の倒産で、さちおが一人ぼっちになるところでは、とても切なく思いました。
こういうことって実際にもありそうだなと思います。
失踪した父の代わりに三日月村からやってきた黒猫との奇妙な生活が始まります。後半は、昔話の「みるなのくら」を思い出しました。
作品が書けなくなると、グリム童話を読んでいたという安房さん、語りのリズムが読んでいて心地よく感じるのは、昔話の語りが体の中に取り込まれているせいのなのかもしれません。
86年の作品です。ミステリアスで異界に取り込まれていくような怖さも感じられますが、読後感はよかったです。
さちおが目にする自然描写がとても美しくてとても引き込まれました。 (はなびやさん 40代・ママ 男の子7歳)
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