
さくら保育園にはこわいものが2つあります。ひとつはおしいれで、もうひとつはねずみばあさんです。 先生たちがやる人形劇に出てくるねずみばあさんは、とてもこわくて、子どもたちは「きゃーっ」といったり、耳をふさいだりします。でも子どもたちは人形劇が大好きです。 おしいれは、給食のときやお昼寝のときにさわいで言うことをきかない子が入れられるところです。まっくらでこわくて子どもたちは泣いてしまいます。「ごめんなさい」と言っておしいれから出てくるとき、出てきた子も、おしいれに入れた先生も、ほっとします。
ある日の昼寝の時間、着替えようとしたあきらのポケットから赤いミニカーが落ちました。さとしが「かして」と言い「だめだよ」と言うあきらととりあいになって、ふたりは昼寝している子どもたちの上を走り回りました。先生が「やめなさい」と言ってもやめません。ふんづけられた子どもたちが「いたい!」と悲鳴をあげ、怒った先生はあきらをおしいれの下の段に、さとしを上の段に入れてぴしゃっと戸をしめてしまいました。 最初は泣きべそをかき腹をたてたふたりですが、なかなか「ごめんなさい」を言いません。そろっておしいれの中から戸をけとばし、汗ぐっしょりで戸を押さえる先生たちも困ってしまいます。 とうとうあきらが「ぼく、もうだめだよ」とあきらめそうになりました。さとしとあきらは上の段と下の段で、汗でべとべとの手をにぎりあい、おしいれの冒険がはじまります・・・。
1974年に発売されて以来、子どもたちの圧倒的な支持を誇り、読み継がれる本になった『おしいれのぼうけん』。 作者の古田足日さんと田畑精一さんはじっさいに保育園で取材をし、話し合いを重ねて物語を作り上げたそうです。 ほぼ鉛筆一本で描かれた世界のなかに、ねずみばあさんの存在感と子どもたちの躍動感があふれ、物語にぐぐっとひきこまれていきます。発売から何十年たってもねずみばあさんがすぐそばにいるような、子どもたちの汗がにじんだ手のひらの熱さが伝わってくるような気がする読み物絵本です。
(大和田佳世 絵本ナビライター)


さくらほいくえんには、こわいものがふたつあります。ひとつはおしいれで、もうひとつはねずみばあさんです。――お昼寝前にミニカーのとりっこでけんかをしたさとしとあきらは、先生にしかられておしいれに入れられてしまいます。そこでふたりが出会ったのは、おそろしいねずみばあさんで・・・。 現代の子どもたちの姿を生き生きととらえた、ロングセラー絵本。
※童心社のホームページでは「おしいれのぼうけん」の特集ページがあります。>>> ・おしいれのぼうけんニュース ・著者のことば ・『おしいれのぼうけん』のひみつ などなど、楽しい情報が満載です。

3・4年生になると、複雑なエピソードや心の動きを追って楽しむ本を紹介したいもの。そんなときはこの本がベスト。
どきどきわくわく、ちょっと昔の保育園の事を思い出しながら楽しめる。小学生にちょうどいいスリルと怖さの感覚だと思います。
もうすこし大きくなると、もう感情移入できなくなってしまう、そのぎりぎりの子供たちに何度も読んでやりたくなる本です。 (アボッチさん 40代・ママ 男の子14歳、女の子11歳)
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