 「おれたち、ともだち!」絵本 レビュー大賞決定!

「えー、ともだちやです。ともだちは いりませんか」 森に住むキツネは、「ともだちや」を始めることにしました。 友だちがほしくてさびしい人に、「1時間100円」で友だちになってあげるのです。 果たして、お客さんはいるのでしょうか……?
子どもは、3歳を過ぎた頃から「友だち遊び」の楽しさがわかるようになると言われています。この時期に、「友だちって何だろう?」という問いの答えを、親子で一緒に探してみませんか。 この絵本の後半に登場するオオカミが、そのヒントを教えてくれるはずです。 するどい目に大きく裂けた口、そしてギザギザにとがったキバがとても恐ろしいオオカミですが、オオカミの言葉と、そしてその気持ちに、読者はきっと救われることになるでしょう。 ただ、そこにたどり着く前に、大迫力のオオカミの顔(どアップです)の見開きがあり、ここでお子さんが泣いてしまわないといいのですが……(多分初見は泣くと思います……)。
そして、本書のポイントをもう一つ。「1じかん100えん」という表現が出てきます。 「時間」や「貨幣」の感覚がまだ曖昧なこの時期のお子さんに、「1時間ってどれくらいだろう?」「100円って何が買えると思う?」と言ったような問いかけをしてみるのも、また新しい発見がありそうです。 (さらに、今後「ジュース買って!」とごねられたときは、「これキツネさんと1時間お友だちになるより高いんだよ?」と返す、そんな風にも活用できるかもしれません)
(洪愛舜 編集者・ライター)

ある日、キツネは<ともだちや>を始めることを思いつきました。1時間100円でともだちになってあげるのですが、さて…。

友達を大事にしようとか、そういう言葉って大人が子どもに言うと、白々しくて説教くさい感じになりますが、この絵本は良いですね。自然に友達の大切さが伝わってくる。
「ともだちはいりませんか さびしいひとはいませんか」と声をかけながら歩くきつね。最初のお客はくま。1人でイチゴを食べてもおいしくないというくまに、仕事として、まずくてたまらないイチゴ嫌いなを飲み込むきつね。200円受け取ってさよなら。子どもとしては、なんとも複雑な気持ちで聞いているんでしょうね。
次はおおかみ。おおかみに付き合って、楽しくトランプで遊ぶきつね。お金を請求したら「ほんとうのともだちか?」と言われて、気が付きます。それから、毎日遊ぶ二人。おおかみは一番大事なおもちゃまできつねにあげます。
それからきつねの「ともだちや」の呼び込みの声は変わるんです。「なんじかんでもただ まいにちでもただです」って。 (ぎんにゃんさん 30代・ママ 女の子3歳、男の子1歳)
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