
「いらっしゃい。ここは銭天堂。幸運をもとめる幸運な人だけが、見つけられる店でござんす。幸運なお客さんのおのぞみは、この紅子さんが、きっとかなえてさしあげましょ」
うたうような節回しでそう話すのは、古銭の柄の入った濃い赤紫色の着物を着て、どっしりと太り、真っ白な髪を結い上げた紅子さん。そう、この本の表紙でこちらをみてほほえんでいる存在感たっぷりの女性が紅子さんです。
心に悩みや望みをもつ6人の主人公たちが、それぞれ銭天堂で手に入れたのは、「型ぬき人魚グミ」「猛獣ビスケット」「ホーンテッドアイス」「釣り鯛焼き」「カリスマボンボン」「クッキングツリー」。その駄菓子を食べた時に主人公たちに起こる何とも奇妙で不思議な体験が、このお話の面白さ。毎回ドキドキハラハラさせられてしまうのは、みんな、説明書をちゃんと読まずに駄菓子を食べてしまうから。初めに説明書をきちんと読んでいれば問題なく幸運になれたものを、あせって間違った食べ方をして、それはそれは大変なことに‥‥‥。
駄菓子は五円や十円などとても安い値段で買うことができます。店主の紅子さんは、毎回、銭をお宝と呼んで、何年ものか、などじっくり調べます。どうやら銭に強いこだわりがある様子。紅子さんの本当の仕事は駄菓子を売ることでなく、めずらしい銭を集めることなのでしょうか。いや最後まで読むとそれも本来の目的ではなさそう!?
ちょっとこわいけど、読んだ後は商店街の路地にあるという銭天堂を探し出して、不思議な駄菓子を手にいれたくなってしまうこのお話。けれども、運良く駄菓子を買えたとしても、食べる前には説明書を必ず最後まで読むのをお忘れなく!
「ようござんすね?かならずでござんすよ?」今にも紅子さんの声が聞こえてきそうです。
(秋山朋恵 絵本ナビ編集部)


駄菓子屋を舞台にした不思議なお話 全6話
ふしぎな駄菓子屋で売っているふしぎな駄菓子が持つパワーとは?女主人紅子が、きょうもお客さんの運命を駄菓子で翻弄する。

始まりは、アニメでした。
歌も絵も、ちょっと不気味で、
年長さんの娘は最初は敬遠していましたが、
お友達から勧められて見てみると、
一気に銭天堂ワールドにハマってしまいました。
そしてこの一冊目の本を購入。
小学校中学年向け、ということで、
ルビが振っていない漢字も多かったので、
親が読んであげました。
アニメでは書ききれない細かいことが沢山。
その面白さに、テレビ大好きな我が子も、
アニメ<本になりました。
駄菓子屋さんって、
なんでこうも子供の心を掴むのでしょう。
娘はこんな商品があったら面白い、
と自分で色んなお菓子を書いて、
ストーリーを考えています。
そうして気づいたら全巻揃えていました、笑。 (きゃほさん 40代・ママ 女の子7歳)
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