手にすると、さらさらとした紙の質感。 縦長で、ほどよい厚み。 お気に入りの雑貨のような心地よさを感じます。
表紙をご覧ください。 上三割ほどのあたりの海面に、真っ赤なオセアノ号の船体が浮かび、 下七割ほどは水色の・・・そう、下はずっと海なのです。
私たちが目にする世界は、上の方のわずかな部分。 その下に、深く、深く、もっとずっと大きく深い世界が広がっています。 この海の中こそがこの作品の舞台なのです。
さあ、本を開いてみましょう。
最初のページには、出帆の準備をしているオセアノ号の姿。 浜辺には海水浴を楽しむ人々。 空高く黄色い凧が上がっていて、海は水面が見えているのみ。 これから始まる航海のプロローグにふさわしいシーンです。
そして次のページを開くと・・・いよいよ、大きなしかけが登場します!
ページを開きはじめたときには本の下の方まで伸びていた海面とそこに浮かぶ船達が、 ページを開くのにあわせてググっと立ち上がり、上三割のところで本と垂直に伸びる海面となります。 その下の七割の部分は・・・そう、海の中なんです!! 魚が泳いで、海面に浮かぶブイの鎖が海底まで伸びて・・・。 港の近くの海中には、いろんなものが沈んでいますね。
「いよいよ そのひが やってきた! せかいの うみへ、たびだつ ひだ。 あかい さんかくの はたを かかげた オセアノ号を、 いろんな ふねに のった ひとたちが みおくっている。 りくちよ、さようなら。 しらない せかいが まっている!」
さあ、冒険の始まりです!
本と垂直に立ち上がった海面に顔を近づけると、海の上の様子がよくわかり、 そこから海面の下に目を移すと、深い海の中の出来事が迫力をもって伝わって来ます。
北極の冷たい海を越え、嵐をくぐり抜けてたどり着いたのはサンゴの海。 その美しいこと・・・・。
「素敵」という言葉が実にしっくりくる、そんな絵本です。 本の裏に記された、発行元アノニマ・スタジオさんからのメッセージに共感を覚えましたのでご紹介しておきますね。
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アノニマ・スタジオは、 風や光のささやきに耳をすまし、 暮らしの中の小さな発見を大切にひろい集め、 日々ささやかなよろこびを見つける人と一緒に 本を作ってゆくスタジオです。 遠くに住む友人から届いた手紙のように、 何度も手にとって読みかえしたくなる本、 その本があるだけで、 自分の部屋があたたかく輝いて思えるような本を。
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そう、これはまさにそんな本。 自分に一冊。そして、大切な友人にも贈りたい傑作です。
(金柿秀幸 絵本ナビ事務局長)
さあ、オセアノ号の帆をあげよう。まっ赤なぼくらのオセアノ号で、世界をまわる旅に出発するんだ!
『ナマケモノのいる森で』の作者、ボワロベールとリゴーが、自然への讃歌と敬意をこめて、そして自然を守るために、再びデュオを組んで作品を作り上げました。 海のうえにも、海の中にも、ポップアップの楽しいしかけがいっぱい! 美しいイラストレーションと、しかけの素晴らしさで世界中の話題をよんだ、人気作家による新作しかけ絵本です。 世界6カ国で翻訳。
夏のおはなし会が7月にあります。今回のテーマが「うみ」いろんなお話の本を探していました。そんな時に見つけたのが「オセアノ号、海へ!」絵が繊細で美しい!海の底はまるで本物を見ているかのようでした。残念ながら、今回のおはなし会では、絵本の紹介のみになってしまいますが、ぜひ多くの方に見ていただきたいと思っています。見るたびに新しい発見や感動がある美しい楽しい一冊です。本箱にしまっておくのはもったいないので、我が家のリビングの飾ってあります。 (さくらいくんさん 40代・ママ 女の子21歳、男の子16歳)
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