
昔、あるところにおじいさんとおばあさんが貧しく暮らしていました。大晦日、おじいさんはお正月のお餅を買おうと町に笠を売りに出かけました。ところが、米や魚は飛ぶように売れるのに、誰もおじいさんの笠を買う人はいません。仕方なく家に戻ろうとした途中、雪が降り始め、あたりは吹雪に。ふと気がつくと、6人の地蔵様が野原で雪にさらされています。気の毒に思ったおじいさんは持っていた5つの笠をかぶせてあげ、最後の地蔵様には自分の笠をかぶせてあげました。


6人の地蔵様が恩返しをするおなじみの昔話。藍色の和紙を背景に、見開きいっぱいの扇面に描かれた素朴な水墨画が日本情緒をかもし出します。温もりが伝わる語り口も昔話らしくて魅力。ボッタンと描かれた雪や、赤いほおの老夫婦の優しい笑顔に心が休まりますよ。年末年始に読みたい一冊です。 ――(ブラウンあすか)

六人の地蔵さんが恩返しをするおなじみの昔話絵本。日本の伝統の和紙と扇面を生かした見事な画面と、老夫婦のあたたかい愛情を伝える語り口で、昔語絵本の傑作と定評があります。

かさじぞう かさこじぞう
いろいろなタイトルで出ている有名なお話しです。
たくさんある絵本の中から 私が保育でこの本を読み続けている理由は
何より この昔話の要である「雪」が
とても素晴らしいからです。
画家の赤羽末吉さんが 雪の中に何度も取材に行かれ
何千枚もの写真を撮られ 長い時間をかけてかかれたこの本は
お地蔵さまを 包むように降る雪の暖かさまで
本を持つ手に伝わるような気がするほどの できばえです。
決して派手ではありませんが
こどもだから手加減せず 老画家が持てる画力全てを注いで描いた
この絵で ぜひ この優しいお話しを読み聞かせてあげたい
そう思っています。
園で読み聞かせていくと みんな ほっこりと しんみりと
静かな表情で聞いてくれます。
きっとこどもたちの一番優しい部分が 表に出てくるんだと思います。
そんな力のある一冊です。 (ひだまりピッピさん 40代・せんせい 男の子3歳)
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