はじまりは「しーん」と静か。
やがて、「もこ」。地面の一部が盛り上がり。
「もこもこ」、それは大きくなり、隣には「にょき」っと新たにちいさな盛り上がり。
ページをめくるごとに次々に起こる驚きの展開。
それらはどんどん大きく膨れ上がり……そして最後には!?
まったく不思議な絵本です。出てくる言葉は「もこ」「にょき」「ぽろり」と奇妙な擬音ばかり。色や形だって……この絵本を開いて頭にハテナを浮かべながらも、そのまま声に出して読み続けていると、横で赤ちゃんが、子どもたちが喜んでいる。どうやら、知らぬ間にこの絵本の世界に引き込まれて夢中になっているようなのです!
何だかわからないけれど喜ぶからと毎日続けて読むうちに、大人だって楽しくなって、自由テキトウ、自己流に読み始める。その頃には赤ちゃんの方も「もこもこ」とか「ぱちん!」って言うだけで、キャッキャするようになって。そのうち今度は子どもに読んでもらえるようになったりして。
詩人谷川俊太郎さんと画家元永定正さんがおりなす異色ながらも傑作と言われるこの絵本。つまり、そのくらい親子に愛読され続けているんです。まだ経験していない方は、ためしに手にとってみてくださいね。
(磯崎園子 絵本ナビ編集長)
続きを読む