体が大きくてとっても重くて……そんなかばくんにぴったりなお仕事ってなんでしょうね。とりあえず、かばくんはやる気を出して、次々に挑戦してみますよ。
「ぼく、しょうぼうしになれるやろか。」
お! 消防服を着込み、ホースを手に走るかばくん。なかなか様になっていますよ。勢いよく梯子で駆け上がり……あれれ、梯子が重みで……。
「なれへんかったわ。」
まあ、仕方ない。船乗りはどうかな。
「どうも こうも あらへん。」
パイロットは? いや、バレリーナ? ピアニストにカウボーイ、サーカスのつなわたりは? 重量級のかばくん、何をやっても、何かが起きます。まったく上手いこといきません。
体が大きいだけじゃなく、その愛嬌のある顔つきから動作まで、どことなくのんびり、おっとりした雰囲気をかもしだすかばくん。何をやっていても、どんな目にあっていても、なんだかちょっと可笑しくて。そんな雰囲気を存分に引き出してくれているのが、今江祥智さんによる関西弁の翻訳です。しっくりハマり過ぎていて、かばくんは最初から関西人だったんじゃないかと思うほど。だからこそ、最後の最後に発するかばくんのセリフが読者に響いてくるんですよね。どうしようもなくて迷った時は。思いつくまでちょっと一休み。
「ま、ぼちぼちいこか。」
……と、いうことや。
(磯崎園子 絵本ナビ編集長)
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