ひょんなことから異界に招かれ、そこで、なにかしらを失うかわりに大切なものを得て帰ってくる主人公たちを描いた作品集。
安房直子コレクションの4です。
4つのお話が収録されています。高校生ぐらいの時から安房作品を読んできたのですが、
その時は短編を読むことが多かったので、意外と長編もたくさんあるのだというのが、このコレクションを読んでの感想です。
どの作品も物作りと無関係でなく、「ハンカチの上の花畑」以外は、物作りに魅せられていく人たちの心模様が丁寧に描かれていると思いました。
「ハンカチの上の花畑」には、もっとお金を稼ぎたいという欲、「ライラック通りの帽子屋」では好きなことを思いっきりしたいという気持
ち、「丘の上の小さな家」は今回初めて読んだのですが、憧れをかなえるめには大きすぎる代償を払わなくてはならないことを思いました。
人間の業や心の奥底にひそむ気持ちをファンタジーの形を借りて美しく時に恐ろしくはななく切なく描き出すことができる非常に稀有な作家だということを改めて思いました。 (はなびやさん 40代・ママ 男の子7歳)
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