朝倉勇さんは、新人です。
(だれでも、初めは新人です。志賀直哉だって、司馬遼太郎だって、大江健三郎だって、、みんな新人でした。)
74歳で始めて童話を書きました。
74歳までは(今も)広告のコピーライターでした。ライトパブリシティーでコピーを書いていました。詩人でもあります。
広告のクリエイティブ業界でライト パブリシティといえば泣く子もだまります。東京コピーライターズクラブ第1回新人賞を
皮切りに、20年の間に広告電通賞を初め名だたる賞を総なめにしてしまいました。
若いときに出した詩集「掟」で第1回ユリイカ新人賞佳作第一席に入り、詩集「島の歌」で第4回丸山豊近現代詩賞を
受賞しました。広告や詩の世界では名のある人で出版界にだって多くの知己がいるはずなのに、なぜか初対面の童話屋の
編集長宛に手紙を書きました。届いた封書の人?相に凄 みがありました。宛名書きも差出人の名前も礼儀正しく
しばらく見とれました。そして、一読、ただちに出版を決めました。本人の希望で装幀は安野光雅さんに お願いしました。
お話のあらすじは―
あるところに長い間戦争を続けていた二つの国がありました(作者の頭にはEU以前のドイツとフランスがあったようです。)
その一方の国には父親と兄を戦争 で失くしたポールという子どもがいて、笛の名人でした。
彼は小鳥のピルルの美しいさえずりに合わせて、いつも笛を吹いていました。
あるとき、ポールの国で小鳥の歌コンクールが開かれ、ポールとピルルが優勝します。
その噂が隣の敵国の王の耳に届きました。するとある日、隣の国から使者がやってきて、
重い病気にかかった王女をポールとピルルの歌で元気にしてほしいというのです。
74歳の老人が初めて書いた、そしておそらくは最後の作品になるであろうこの童話はまさに夢の童話です。
でも、ほんとうに夢でしょうか?
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