ずっと昔からある、高い壁。
この中にいれば安全だということも知っているし、深く考えなければハッピーなままでいられることも知っている。
でも、外の世界を見たい。知りたい。
何がこの小さなねずみを突き動かすのだろう。
付和雷同していては、大切なものを見失う。
自分の気持ちにウソをついて生きていくことになる。
知りたい気持ちを諦めずにいたねずみは、真実を見つけることができたのだ。
対照的な年老いたらいおんは、なぜ最後まで壁を越えなかったのだろう。
推測なのだけど、もしかしたら、若いころに壁を越えようと散々チャレンジして、諦めてしまった過去があるのかもしれない。
大人が読むと、今の世の中を象徴しているかのようで心が痛い。
見ないふりしてないか、諦めてしまってないか。
私たちの世界に立ちふさがる壁も、越えることができるのかな。
表紙カバーの下に、答えがあるような気がします。
ブリッタ・テッケントラップの美しい絵が、希望を与えてくれます。