この絵本の作者湯本香樹実(かずみ)さんといえば、『夏の庭』や『岸辺の旅』といった作品で有名な小説家です。
絵本好きな人なら酒井駒子さんとの絶妙なコンビで著した『くまとやまねこ』を思い出す人も多いと思います。
そんな湯本さんが独特なタッチの絵を描くささめやゆきさんとのコンビで出したのが、この絵本です。
このお二人でどんな絵本になったのでしょう。
おとうさんが絵本を読んでくれる約束だった夜、おとうさんは仕事で遅くなると連絡が入ります。
まゆちゃんは約束したのにと、不満げで、なかなか眠れません。
暗くなった外をみつめながら、「おとうさんは、いま」何をしてるだろうと考えています。
その頃、おとうさんはお仕事が終わって帰宅途中。
ところが、川沿いの道でカッパのガタロウに襲われてしまいます。
これって本当のこと?
それとも、まゆちゃんの夢のなか?
危機一髪でガタロウから逃げきったおとうさんは一目散に家に駆けています。
扉を開けると、まゆちゃんはまだ起きて待っています。
でも、まゆちゃんはどうしておとうさんが帰ってくるのがわかったのでしょう?
もしかして、ガタロウに追いかけられたことも空を飛んで逃げたことも、みんなみんなまゆちゃんはわかっていたのでしょうか。
湯本さんの豊かな世界にささめゆきさんの絵がどんぴしゃりと合っています。
だから、おとうさんがガタロウに追いかけれても空を飛んでも、みんなみんな本当にあったことのように思えます。