この絵本、いいです。
表紙を見たときは、ありがちな夢見がちなお話かと思いましたが、もっとリアルで力強いお話でした。
イラストを担当された黒木洋高さん自身、事故で手足が動かなくなってしまって電動車椅子に乗り、口で絵を描き、ワープロを使っている青年です。
主人公のみっちゃんは小さい頃脳性麻痺にかかり、手足がうまく動かず、言葉も未熟な女の子。
そのみっちゃんのお父さんが交通事故にあい、入院したのを聞いて、みっちゃんはいてもたってもいられなくなり、車椅子のジョーに乗って、初めて一人で、町へ出るお話です。
絵本の題名は「小冒険」とありますが、みっちゃんにとっては、そう遠くない病院に一人で行くというだけでも、大冒険だったに違いありません。
車椅子に乗る不便さは、さりげなく要所要所で描かれています。
ちょっとした段差や狭い道では動けなくなるとか、何かに乗りたいときには他人の手が必要だとか…。
私たち読み手は、そこのところを素通りしてしまうのではなく、この絵本に出会ったことで、理解して、彼らの不便さに手を差し伸べられるような人間になりたいです。