邦題「おとうさんの庭」ということばに、家族の見えない絆を感じる。ポール・フライシュマン原作は「The Animal Hedge」動物の生け垣である。
しあわせは儚い、天は厳しい。目に見えるつまずきがなくとも、人生は先が見えないもの。暮らしの中で、おとうさんと呼ばれる者の落ち込む気持ちは、家族ですら癒すことができない。それは我が身をもって感じることである。
何かを失って、どうすればよいか迷ったとき、その答えの欠片が、この絵本の中に隠れている気がする。夢のない人なんていない。でも、しあわせって何だろう?と、いつも考えさせられる。自律するって、本当は身の丈を知る旅に出ることではないかと、作中の息子三人の「でかけていく」という訳語に助けられた思いだ。
訳者の藤本朝巳さんに感謝。