シャンプー嫌いで大声で泣く(洗髪は週1回!)、
3歳の男の子・イタマルをめぐるユーモラスな物語なのですが、
読後、私はちょっとジーンとして、いろいろ考えてしまいました。
子どもに出来ないことがあると
早く何とかして解決させてあげたいと思うけれど
結局、その子自身が納得して、その子のペースで頑張ることでしか変わらないんだなぁ、と。
家族が出来ることがあるとすれば、待つこと、かしら。
・・・泣かれるのって消耗しますけどね、実際。
ジャッキー・グライヒさんの絵が、なんともいえない、独特の味わい。
登場人物の、それぞれの心情がとてもリアルに伝わってきます。
特にイタマルの表情が絶妙です。
泣き声が嫌なお姉ちゃんに丸坊主を勧められ、床屋さんに連れて行かれるイタマル。
意地悪そうな、よそのお母さんがなかなかの迫力でドキドキします。
思い通りにならない弟に苛立ちながらも、
かわいそうになってイタマルを連れ帰るお姉ちゃんが、
小さなお母さんみたいで愛おしくなりました。
その夜のイタマルの決意表明がなかなか!
作者のウーリー・オルレブさんは、3歳の男の子の気概が
どうしてこんなにわかるのでしょうか。
最後のプレゼントはお父さん、お母さん、お姉ちゃん、3人から。
(布が掛かっているけれど、にんじんが見えているのが心憎い絵!)
イタマル頑張ったんだなぁ。
なんだかんだ、家族みんなでイタマルを待ってくれたんだなぁと嬉しくなりました。
そして、ラストの一文。
始まりの言葉とリンクしていて、じんわりと余韻にひたれます。
息子も楽しんで聞いてくれましたが、
日々子ども達に手を焼いているお母さんにもおすすめです。