ひとりぽっちのリスが森で卵を拾ってきました。
リスは卵を大事に暖めて、ヒナが生まれるとたいそう喜んで
村から聞こえた鶏の元気な声にちなみ”かっこう”と名づけました。
ヒナのために毎日えさを探して、ヒナはすくすくと育ちました。
ヒナもリスのことが大好きでした。
ところがある日、もぐらが余計なことをいいました。
ヒナは自分とお母さんは違うのかと悩むのでしたが、
「おなかが痛いのすこしなの」というとやさしくなでてくれるリスが「ああ、やっぱりお母さんに違いない。」と思いました。
でも、とうとうヒナは自分の体とリスの体が違うことに気づき
空を舞う1羽の鳥を見て、
「あれが本当のお母さんじゃないかしら」と飛んでいきました。
・・・大事に育ててきたヒナがいなくなり、リスは泣きました。
カラスが「山の桜が咲いたなら戻ってきましょうよ」となぐさめました。秋になり、冬になり、やっと春がきて山の桜が咲きました。
リスはずっと桜を見て待ちました。ヒナは帰って来ません。
やがて桜は散り、
「ああ、桜も散ってしまった。」
とリスはつぶやいたまま動くことが出来ないでいました。
それからもヒナを待ち続けたリスは、だんだん体が細くなり、目はくぼんでいきました。
そして 夏のある日、とうとうリスは鳥になり、大空に羽ばたいていきました。
・・・森の中、「かっこう」 「かっこう」と子供を捜す
リスの子供を呼ぶ声が響きます。
ふもとの人たちはこの鳥を「よぶこどり」と呼ぶようになりました。
ヒナを思うリスの気持ち、リスを思うヒナの気持ちが丁寧に画かれて
いて、泣いてしまいました。子供はきょとんとしていましたが
子供よりも私が好きな絵本です。