あなたはそのままそこに居たらいいと言われているような、そんな抱擁力のある作品でした。
絵画のような暮らしがなんとも素敵なのです。海の見える、天井の高いアトリエで、夢中になって大きな絵を描きつつ、親友の娘さんを預かる。小さな女友達を愛でながら、たまに大人っぽい会話をしたりして、本を読み、芸術を鑑賞し、料理をして、おしゃれして食事をする。アートはその生活の中で自然にアウトプットされて行く。海沿いのアトリエは厳しいけれど(笑)、私もこんな風に女性として熟成して行けたらと思いました。
アートに正解が無いように、人の生き方も実は正解が無いはず。
ゆったりと呼吸をするように、そのままそこに居たらいいと、主人公のおばあちゃんの佇まいが教えてくれるような気がしました。
物語もいいですが、美術品のような絵が印象的で、飾っておきたくなるような絵本です。