1000の風1000のチェロ」 パパの声

1000の風1000のチェロ 作・絵:いせひでこ
出版社:偕成社 偕成社の特集ページがあります!
税込価格:\1,430
発行日:2000年11月
ISBN:9784034351208
評価スコア 4.7
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  • いせひでこの奏でる音楽

    阪神淡路大震災を扱っているだけに軽いコメントはいけないと思いますが、この絵本を見ていせひでこさんの絵本の中には音楽があったのだと得心しました。
    その中でこの絵本はまさに音楽の世界を絵に変えたようなお話です。
    あの大震災を経て生き残った人たち。
    復興のチャリティとしてのコンサート、心の支えとしての音楽。
    チェロを奏でる多くの人たちが集まり、風になるという素晴らしいお話。
    現実にあったことを絵本の世界に見事にまとめていると思います。

    震災で犬を失った少年の奏でる音。小鳥たちを思う少女の音。そして、亡くした友人の形見のチェロで追悼する音。
    1000の思いが音になって、風を起こします。
    この絵本でいせさんの絵は風のように透けています。
    まさに音が聞こえるような絵本でした。

    ところで、何故チェロなのでしょう。
    バイオリンでもベースでもなく、管楽器でもなく弦楽器。
    しかも、持ち運びには多少つらい大きさ。
    そう考えると、チェロでなくてはいけない意味が浮かんできました。
    音域が一番人間の近くにいる楽器であり、人間に近い大きさと重量感のある楽器だからです。
    その音の重厚感と心に響く安らぎはいせさんの描く絵の世界そのものです。

    チェロ奏者であるからこそ、いせさんは人間の心を透明感のある画質で表現しつづけているのだと思いました。

    投稿日:2010/05/31

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  • こころはひとつにできる

    阪神淡路大震災から3年経ったチェロの大コンサートの様子を描いた、
     絵本作家のいせひでこさんの『1000の風 1000のチェロ』の表紙の折り返しに、
     こんな言葉が書かれています。

       こころはひとつにできる/きもちはかさねあえる

    阪神淡路大震災が起こったのは、1995年1月17日。
     今年(2024年)、29年めとなるあの日を迎えます。
     そして、この日はあの日被害にあわれた人や町への追悼だけでなく、
     今年はまた新たなな悲しみと私たちは向き合うことになりました。
     2024年元旦に能登半島で起こった大きな地震と津波。
     雪が舞う寒さの厳しいなかを、今も多くの方が避難されています。
     崩れた山、倒れた家、燃え尽きた町、めくれあがった道路、
     そんな悲惨な姿を目にするだけでつらくなります。

     阪神淡路大震災の時もそうでした。
     倒れた高速道路、燃える町、倒壊した多くの建物。
     あれからどれだけの時間が過ぎても、あれらの光景は目に焼き付いています。
     このあとも、私たちは大きな震災を体験してきました。
     東日本大震災、熊本地震、そして今回の能登半島地震。
     そして、そのたびに人々は前を向き続けてきました。
     「あたらしいあした」を信じて、歩き出しました。

     いせさんはこの絵本であの時の大きな悲しみを前面に描くことはしませんでした。
     描いたのは、それでも前を向こうとする人たちであり、
     ともに生きようとする人たちの思いです。
     この絵本は阪神淡路大震災から5年後の2000年に刊行されました。
     そして、私は今回の能登半島地震で被災された人たちに届くように、再読しました。
     気持ちは、きっと、かさねあえます。

    投稿日:2024/01/17

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  • 音の記憶

    • はしのさん
    • 40代
    • パパ
    • 神奈川県
    • 男の子14歳、女の子12歳

    この絵本は、阪神淡路大震災のことを描いた絵本です。作者のいせさんは、大震災から2ヵ月後の神戸を歩いてまわったそうです。しかし、スケッチブックは白紙のままでした。
    描けないのか、描いてはいけないのか、その迷いを吹き飛ばしたのが、この絵本のテーマになっている、復興支援「1000人のチェロ・コンサート」でした。

    絵本に出てくる被災を受けた街の風景は1ページだけです。
    しかし、絵本には、忘れてはいけない過去の断片をつなぐように、1000のチェロから1000の想いが音楽となって流れ出していく様子が見事に描かれています。
    この音の記憶は、きっと読む人にも伝わると思います。

    小学校中学年から上の子どもたちが読むと良いと思います。

    投稿日:2009/05/29

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