ウサギ工場からにげだした二匹のウサギの話です。
何もすることなく、ただ食べて、太るだけの工場の生活。ちいさなウサギが連れてこられ、太ったウサギは連れて行かれる・・でも、どこへ?灰色ウサギと茶色ウサギは、それを確かめるために脱走します。だけど、外の自由を謳歌する茶色ウサギにくらべ、工場暮らしが長かった灰色ウサギにとって、外の世界はただただ、おそろしいばかり。
この話、本当に幾通りにも読める感じがします。この話に出てくるウサギ工場ってどこだろう、コンベアベルトで運ばれてくるえさを食べてただ太るに任せているウサギたちってだれだろう、そして、、、この場所にウサギたちを連れてきて、そして連れ去るのは誰なんだろう?そう考えると少し、空恐ろしい感じもします。私たちは、知らされていないのではないか。何か、本当のことを。現実へのそんな疑問が、ふつふつと沸き上がってくるのです。
決して小さな子ども向きの本だとは思えません。何故か息子はこの本にとても惹かれていますが、私は今でも、少し早すぎたかな、と思っています。この本を与えるのは、10歳を過ぎて、社会にはいろんな矛盾が存在している、ということを受け入れることができるようになってからの方がいいような気がします。