手塚治虫の絵本ということと、ねずみの話ということで興味を持ちました。この絵本には、「ねずみじょうど」「かたはぐるま」「えきほすのはなし」「いばら姫」の4つのお話が収録されています。
カバーの説明によると手塚治虫がお母さんから寝物語として聞いていたものらしいのです。
そう思うと一層興味が湧きました。河出書房新社
「ねずみじょうど」は、昔話に多い「よいおじい」と「わるいおじい」の話です。
よいおじいは、へっついの横のねずみの穴に米粒を入れてやっていました。ある日、ねずみはおじいに、へび退治を任せます。それを聞いたわるいおじいが同じことをします。
わるいおじいは特別悪いことをした訳ではありませんが、欲や心
がけの悪さが悪いことを招いてしまうのかもしれないと思いました。
「かたはぐるま」は見てはならないと言われていたのに、戸の隙間から覗いてしまった女が子どもをさらわれて、探しに行く話です。
「見てはいけない」というのは「つるのおんがえし」始め、昔話にはよく登場する設定ですが、大事な子どもをさらわれてしまうというお話は初めて読みました。子どもを持つ母親としては切ない話でした。
「えきほすのはなし」は、売店で売られているのどの薬「えきほす」の話です。物の以心伝心というのか、不思議なお話でした。
日本のお話の中に一つだけ「いばら姫」というグリム童話が入っていたのに驚きました。ある国に王女が生まれ、その宴に十三番目の仙女を呼ばなかったために、仕返しされてしまうお話です。
絵本の中に、4つの話が収められているので、ダイジェスト的な面があり、息子はどの話も「これでおしまい」とちょっと物足りなそうにしていました。
手塚治虫が創作をするに当たっては、子どもの頃、お母さんから聞いた不思議なお話の影響も多きかったのでしょうね。そう思って読むと、これから手塚漫画を読む時の、読み方が変わってきそうな気がしました。他にも3冊ほど絵本が出ているようなので、どんな作品が収められているのか読んでみたくなりました。