改めてこの絵本を読んでなんて切ないんだろうと思いました。
私が幼い頃から母に「人を外見で判断してはいけない」と厳しく言われて育ちました。
顔にコンプレックスを抱える母にとってこれまでの人生は娘の私でも知りえない辛い経験があったのだと思います。
しかし社会とは本当に冷酷な一面を抱えており、小学生になった私にも現実の冷たさを教えました。
太っている、運動が苦手、先生に好かれている等等様々な理由で子どもの社会でも他者を排除しようとすることがあり、同調しない私にもその排除の刃は向けられました。
もし小学4年生の時の私がこの物語に出会っていたら安易に「夜だかのように星になってしまいたい」と思ってしまっていたかもしれません。
息子はまだ幼く、今は世界の良い部分をたくさん教えてあげたいと思っていますが、もう少し成長し社会にはあってはならない「差別や偏見」というものも実際に存在するということ、しかしそれに決して乗じてはいけないということをこの絵本を介して話す機会があればいいなと思います。
ささめやゆきさんのクレパス画は時に優しく時に激しく夜だかの感情を表していると思います。
息子と絵本を読んだときに私の話とともにこの絵が息子の心に強く残るのではないかと思います。
賢治の絵本を通じて夜だかのように星になってしまう子どもたちがいなくなることを願います。