中2の上の子も「読んだ」というよりはペラペラとめくっていました。
同名のタイトルの絵本もありますが、これは写真絵本(というか家族の記録の本)です。
「大塚敦子」さん(ドキュメンタリー作家であると同時に写真絵本家でもあります)の写真絵本と、作品的には似ているものがあります。
違うところは、「おじいちゃん」の病気が判明してから亡くなるまでの記録を、家族である孫が撮影し、本にまとめたというところです。
おじいちゃんの病気は、ここでは「動脈硬化」とされていますが、記録されている症状をみると、今でいう痴呆症または認知症と見ていいと思います。
ガンと静かにたたかい、死を受け入れる「エルマおばあさん」(作:大塚敦子)も、見ていて素晴らしいと思う反面つらい絵本でしたが、
元気だった家族が、少しずつ身の回りのことが分からなくなり、次第に身近な家族である自分たちが誰だかわからなっていく。そして、うまく体が動かなくなり、奇怪な行動をとりはじめる。
それを正面からしっかりと見つめて、受け入れるのは、写真には見えないところで、大変なご苦労があったと思います。
私たち読者は、写真という形で「おじいちゃん」を知り、家族の視線を追います。
病気が発覚してから約3年後に「おじいちゃん」はこの世を去りますが、私は今まで、他人の老いや病気をこれほど真剣に覗いたことはありませんでした。
この本をまとめたマークとダンの文章がとても温かく愛情深いので、重たいテーマではありますが大変親しみやすく読みやすい内容になっています。
対象年齢は高学年以上がいいと思います。
出来たらおじいちゃんおばあちゃんがいる、思春期の中高生に手にしてほしい本でした。