気づかない人、気づいた人、見上げる人、見下ろすスジ、描かれた人々と描かれた道から、想像力をどんどん膨らませていく作品です。
絵が表現しているから、言葉は要らないのでしょうか。
自動車事故で、スジは車椅子生活になりました。
マンションの上階で暮らすスジは、上から下を見下ろすだけです。
通りを過ぎていく人々はスジが見ていることに気づきません。その光景が繰り返されるにつれて、通りの人とスジとの隔絶感が緊張を膨らませていきます。
まるで臨死体験のような気がして、どうしてスジは同じ目線で人を見ることができないのだろうと、気になってしかたがありませんでした。
この設定が、障がいに対する意識を象徴しているのでしょうか。
ある日、歩いていた少年がスジに気づきます。
消えを交わす二人ですが、スジが、「頭のてっぺんしか見えないよ」と言うと、路上に横たわってみせました。
この行動が、道行く人を巻き込んでいきます。
人びとの、この関心がスジに対する支援の目でしょうか。
自分の存在を多くの人に認知してもらえる事が、何よりもスジが一緒に歩ける日を期待させるのです。
モノクロームで描かれる絵に、色がついて絵本は終わります。
車椅子から降りることができたスジはお母さんと一緒に、自分が見下ろしていた場所を見上げています。
通行人は何事もなかったように通り過ぎていきます。
この絵本を読んだなら、見上げられる人、気づける人になって欲しいと感じました。
やはり誰もが同じ地上で顔を合わせる存在でなければいけないと思います。
この絵本の斬新な表現方法は刺激的でした。