クリスマスといえば、静かで厳かな作品がほとんどと思っていたのですが、この作品は可愛くて、笑えて、終わり方が最高で、息子と大受けしながら読んだ作品です。とにかく最後のページが、とっても素敵なのです。
お話は……、もうすぐ、クリスマス。ウィロビーさんのお屋敷に届けられたのは、見たこともないような大きなクリスマスツリーでした。大広間に立ててみると、ツリーは大きすぎて、先が天井につっかえて弓なりに曲がってしまいます。執事のバクスターは先をちょん切り、切られたツリーの先は、小間使いのアデレードに渡されました。アデレードがツリーを机の上に飾ると、先がちょっぴり邪魔です。そこでアデレードもツリーの先をちょん切り、切られたツリーの先は、庭師のチムの家へ。ここでも先がちょっと邪魔で、ツリーは先を切られることに。その切られたツリーの先は、今度はお父さんぐまのバーナビーに拾われて……。
……というように、次から次へと、ツリーは所有者の必要性に応じて先を切られ、最後には……(クスクス笑って、「かわいい〜!」と大笑い)……という経路をたどるお話。パターンに慣れてしまった後の、最後の締めが最高でした。
この作品、実は英語の方もお薦めです。と言うのも、英語は韻を踏んでいて、リズム感のある文章が楽しめるので。作者は絵の先生で、本作品は彼の代表作だそうです。初版は1963年。2000年にカラー版となり再登場となったようです。ペン画のイラストは、登場人物の表情がキュートで、子供受けします。こんなに楽しいクリスマス絵本があったとは……と感動してしまった作品でした。
そうそう、息子の反応がおもしろかったのです。というのは、どのページでも先の切られたツリーが本当は大きさがどんどん小さくなっていくはずが、イラストでは小さく描かれていません。そのことを息子に言うと、「That’s because the point of view is different.(そりゃ、登場人物の視点がそれぞれ違うから)」と説明されてしまい、お見それしました!という感じでした。