光吉夏弥さん訳の本を探していて見つけました。
C・Hビショップといえば「シナの五にんきょうだい」ですが、小学二年生から四年生向けの児童書もあったんですね。
主人公は少年・ニコラでトトとは誰だろう?と思ったら、ニコラたちが住むことになったアパートの管理人が飼っているオウムでした。
戦後のパリの住宅難が出てきて驚きました。住宅に入れない人たちはテント暮らしをしていたのです。
ニコラのうちもテント暮らしでした。テント生活で亡くなった妹がいるため、今度生まれた双子の妹たちの命を守りたいという家族の願いが切々と伝わってきました。
夏はまだしも冬はとても厳しいものがありますよね。
ニコラが会った浮浪者のファリボルじいさんがとても魅力的でした。
ニコラがようやく住めるようになったアパートの家主は赤ん坊の入居を認めていないことから起こるさまざまなこと、時間の流れとしてはそんなに長くはないのですが、パリの当時の様子も窺えて興味深かったですし、ニコラの気持ちを思うととても切なく感じるところが何度もありました。
見返しにパリの地図が描いているので、ニコラと共にパリの寒い冬の道を歩いている気分になりました。
ニコラがもっている唯一の本が「シナの五にんきょうだい」というくだりがあり、そこにはクスッとしてしまいました。