立場によって解釈が変わる何度でも読み返したい余韻の残る絵本。
学生の頃読んだ時は、ぼうやの自分本位な欲求ばかりの行動が納得出来無かったのと献身的な木の無償の愛が切ないと思っていました。
でも私も子を持つ親の立場になってから読み返してみると、りんごの木が身を削りながらも与え続けてぼうやの為に役立てればそれでうれしかった。と言う見返りも求めない深い愛情に心打たれ涙しました。
物語を読んでる第三者として成り行きだけを見ると、ぼうやが不満ばかりの大人になったとか木ばかりが搾取されて報われないとかが気になって釈然としないと言う感想になってしまいますが、この本のメッセージを改めて私なりに考察してみると自己犠牲の末の結果は重要では無くて、りんごの木の視点で湧き起こる大好きなぼうやへ何かしてあげたいという愛情と、一緒に時間を過ごせればそれだけで幸せだと思えるりんごの木の精神に愛と言うものが何かを教えられるのだと思いました。
この話が色んな国で翻訳され永く名作として色褪せないのは、大切に想う相手への本質的な愛が書かれているからなんじゃないかと思いました。